今回は、”バリューベットとブラフベット”というテーマで、ベットというアクションの意味を考えていきます。
さて、前提としてポーカーにおいては、他のプレイヤーより多くのチップを獲得し、収支を最大化することを目標にプレイしていくことになります。
このチップを獲得する方法は、大きく分けて以下の2種類の方法があります。
(1)ショウダウンをして、相手より強い手で勝つ
(2)相手を途中のストリートでフォールドさせ、その場でポットを獲得する
これらをさらに掘り下げて考えてみましょう。
自分がとても強い役を完成させている際は、他のプレイヤーにもたくさんチップをポットに入れてもらい、できるだけ大きなポットでショウダウンに行きたいところです。
逆に、ショウダウンでは勝つ見込みがないようなとても弱いハンドを持っていた場合、相手をフォールドさせることでしかポットを取ることができないので、是が非でもフォールドしてもらいたいところですね。
こういった前提を踏まえると、ベットというアクションには、大まかに
①相手にチップを追加でポットに入れてもらいたいベット
②相手にフォールドしてもらいたいベット
の2種類におおまか区分されそうです。
ここからは、前者のベットを便宜上”バリューベット”、後者のベットを”ブラフベット”と呼び、さらに具体的な説明を行っていきます。
バリューベットとは
さて、フロップが開いて、皆さんは以下の状況だったとしましょう。
とても強いですね。是非とも相手のチップをたくさん取りたいと思うことでしょう。
そこで皆さんはベットしたとしましょう。
このベットの目的は、相手の自分より弱いハンド(例えば、Tヒットや2ヒット等)にコールをもらって、多くのチップを引き出すことですね。
これが俗にいう”バリューベット”という概念です。
今回の手札はAAですが、例えばATやA2、AKのようなハンドでも、ほとんどのケースで相手に勝ってそうですし、バリューベットができそうですね。
しかしどうでしょうか、もし自分が今あげたようなハンド、Aのペア以上でしかベットをしないという場合を考えてみます。
そうすると、相手はTヒットや2ヒットを持っていたとしても、
「どうせこいつは、Aペア以上でしかベットしていないなら、負けているな」
と判断でき、降りることができてしまいますね。
これではせっかく強い手を引いても、相手からチップを得ることは難しくなります。
そこで重要になってくるのが、”ブラフベット”という概念です。
ブラフベットとは
先ほどのボードに戻ります。
例えば、自分の手札がQJだった場合はどうでしょうか。
現状はお世辞にも強いとは言えませんし、ベットしていくにはあまり適さないようにも思えますね。
が、実はこういった何もないような手でも、ベットしていくという選択肢が有効になりえます。
このように、現状強い役でもないにもかかわらず、相手をフォールドさせることを主目的として打つベットを、一般的に”ブラフベット”といいます。
ブラフベットを混ぜることで、相手からするとこちら側が強い手を持ってベットしているのか弱い手でベットしているのかがわからなくなり、
こちら側が強いハンドを持ってるときにコールしてくれたり、何も持っていなくてもベットに降りてくれることでポットを獲得できるようになるわけです。
この「強い手を持っているときも、弱い手を持っているときも、同じようなアクションをする」というのは、ポーカーというゲームにおける本質の一つです。
相手に対して自分が何を持っているのかわからなくさせる。
これはポーカーをうまくプレイするうえで、非常に重要な考え方になってきます。
バリューとブラフのバランス
さて、バリューベット・ブラフベットの概念については、何となく理解して頂けましたでしょうか。
もしかするとここまで読んでいただいた方の中には、こう思った方もいるかもしれません。
「何か持っているときにはバリューベット、何も当たらないときにはブラフベット」なのであれば、とりあえず常にベットしていればよいではないか、と。
ですが、そう単純にいかないのもポーカーの奥が深いところです。
というのもポーカーは、実は強いハンドができる可能性よりも、まったく何もないハンドで終わってしまう可能性の方が圧倒的に高いゲームなのです。
ボードにもよりますが、リバーまでにワンペア以上ができる可能性は、大体5割程度といわれています。
逆に言えば、残りの5割は何もないハンドです。
しかも、ワンペア以上ができた場合でも、全部のケースでバリューベットができるかというと、決してそんなことはないですね。
例えば、
このようなボードで、5や2のペアでベットして、相手の自分より弱いハンドからチップを奪えるかと言われれば、多くの方はそうではないのではないと考えるのではないでしょうか。
つまり、相手が何もないハンドの時はフォールドしてしまうので追加のチップを取ることはできず、
コールするようなハンドというのは7以上のペアであったり、5であったりと、自分が勝っていないところが相当多く、逆に追加でベットした分までチップを取られてしまいます。
そうすると、バリューベットができるハンドというのは、何かしら役ができたハンドの中でもさらに限られるわけですね。
そんな中、何も持っていないハンドをすべてブラフでベットしていると、相手からすれば「バリューベットの可能性もあるけど、ブラフベットの可能性の方が高いから、たくさんコールしたら利益的だな」と想像がつけられてしまいます。
そのため、バリューベットとブラフベットのバランスをちょうどよく保ち、相手から推測され辛くするというのがポイントになります。
本日のまとめ
・ポーカーにおけるベットは、強い手で相手の下のハンドからチップを取りたい”バリューベット”と、何ももっていないけれどもフォールドしてポットを獲得させる”ブラフベット”の2つに区分される
・強いときにしかベットをしないと、相手からチップを引き出すことが難しくなるため、何も持っていないときにもベットをすることが重要
・ポーカーは、基本的に何も役ができないことの方が多いゲーム
・そのため、バリューベットとブラフベットのバランスを保ち、相手に難しい判断を迫ることが重要
次回は、”ブラフベットに用いられやすいハンド”というのを紹介していきます。