今回は、いわゆる”GTO戦略”とある種双璧を成す概念である、”Exploit戦略”についてお話できればと存じます。
Exploit戦略は、うまく採用することができればとても利益的になる戦略ですので、是非本記事でその考え方を抑えて頂ければと存じます。
Exploit戦略とは?
Exploit戦略とは、日本語では”搾取戦略”というように訳されることが多く、ポーカーにおいてはリークのある相手につけこんで、より多くの利益を”搾取”することを目指す戦略です。
以前の記事で述べたように、GTO戦略というのは基本的には「どんな相手にも不利益にならない戦略」という、たとえるならば守りの戦略で、必ずしも最大利益をあげられるものではないというお話をしましたね。
(参考記事)
“GTO”とは何か│PokerFreak (ポーカーフリーク) (pokerfreeak.com)
そのため、弱点のある相手からより利益をあげる観点で、exploit戦略は非常に有効になります。
例えばじゃんけんで絶対パーしか出さない相手には、こちらは必ずチョキを出すのが、GTO戦略ではないですが最も利益的な戦略(=Exploit戦略)ですね。
ポーカーにおいても、完璧にプレイできる人というのは存在せず、誰であっても何かしらのリーク(弱点)は抱えているものです。
そのため、ポーカーにおける思考として、
①この場面でのGTO戦略はどのようなものか?
②相手はどのようなミスを犯していそうか?
③自分はその想定に対して、どのように・どのくらいつけこむか?
という思考手順で、最も利益をあげられる戦略を考えていくことになります。
留意点:カウンターエクスプロイト
ところでExploit戦略は、GTOではないというお話をしました。
GTOでない戦略は、何かしらのつけ込まれる余地を残します。
当然、Exploit戦略であっても同様で、これもじゃんけんの例で考えてみましょう。
100%グーを出してくる相手に対するExploit戦略は、100%パーを出すことですね。
しかしながら、このExploit戦略は当然GTOではありません。
そのため、相手にこの戦略がバレた場合、100%チョキを出されることでExploitを返される(カウンターエクスプロイト)可能性もあるということです。
そうすると、その戦略に対してこちらは100%グーを出すようさらにカウンターしたり、
それはすぐにまたカウンターされる可能性があるから、グーとチョキを50%の頻度で織り交ぜてパーに対抗してみたり……
はじめればキリがありませんが、ポーカーでも同じで、エクスプロイト合戦は終わりなく続いていき、これがポーカーがメタゲーム的要素を含む大きな一側面になっていたりするわけです。
本日のまとめ
・明確にリークのある相手については、正しくエクスプロイトする戦略が最も利益的
・ただし、エクスプロイト戦略は基本的に自身もリークを抱えながらになるため、相手からカウンターされるリスクもはらんでいる
・そのため、ポーカーはエクスプロイト合戦となるメタゲーム要素をはらんでいる